宇宙人と暮らせば

面白親父、自閉症男子、理系(宇宙系)男子と私の、周りとちょっと違う日々を綴ります。

戦う担当者と出会った

今回ももれなく送られて来ましたよ。

はい。長男の障害福祉サービスの更新と、支給継続の申請書かれこれ。

毎年毎年書いている書類だけど、全然慣れないし、写メ撮って毎回おなじように書けばいいものを、写メもそのうち面倒くさくてなっていつの間にか消している。

でも、書かないと受給出来ないし、ここ数日のうちに重い腰を上げて書くことにしよう。(ガンバレ、私!)

 

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福祉サービスなるものは、障害者(児)がサポートを受けるために、国と地域にその費用負担軽減と支給について申請して、支給決定が通知された後に各福祉施設等と契約、更新をする仕組みになっている。

 

 送られてくる書類は書いていても結構難しい。しかも、長男の場合は重度過ぎて、このサービスの定型では使えないことも多く、サービス内容を少し変えて欲しいという「申立書」というのを毎回書いている。

 

そもそもこの「申立書」を書くきっかけになったのは、もう10年以上も前のことで、ヘルパーさんからの依頼だった。

長男の場合、ヘルパーさんと外に出掛ける時は、それなりの訓練と経験のあるヘルパーさんが付くことになっているが、公共機関などを利用する時、車内から飛び出そうとしたり、座席のシートを剥がそうとしたり、降車時に飛び出そうとしたり、ヘルパー1人では止めきれない事態を避けたいとの相談があったからだ。

ここの自治体ではヘルパーは原則1名なので、申し立てをしてヘルパー2名体制の承諾決定をもらったのが一番最初だった。

 

長男は近くの福祉施設を利用出来ていないが、それはその重い障害ゆえに、施設側から断られてばかりだったからだ。今の施設には5年の歳月を掛けてたどり着いている。

ただ、今の施設は居住地から離れた別の区にあるので、施設の送迎車に乗ることが出来ない。だから、毎日親が送迎している。

ところが、6年程前だったか、ある時から送迎途中の車内で暴れることが多くなった。

車内でワンワン泣き出すし、運転するこちらをバシバシ叩いて来るし、突然座席シートを破りだすし、車中に乗せている物を壊しだすし……これには参った。

こちらは運転しているわけだし、対応が難しい。毎日ではないのだが、月に数回という時期があった。

でも、そういう時はたいてい精神的に調子の悪そうな時だった。朝、調子が悪いなと感じたら、覚悟して家を出なければならない。

そこで、私は役所に申し立てをした。

 

調子が悪くても、ヘルパーさんとの移動は何とか出来た。2人体制だし、やはり多少は親よりも遠慮はあるような気もする。

この自治体ではヘルパーの移動支援の場合、必ず出発点は自宅、終点も自宅でなくてはならない。例えば、家を出発して学校に送り届けるということは出来ない。だから家から福祉施設の送迎も出来ない。もちろん施設から自宅もNGだ。

それを調子が悪い時期に限って、ヘルパーさんの移動支援を使って、通所時に自宅から施設、帰宅時に施設から自宅への送迎承諾をお願いした。

 

ヘルパー2人体制はすぐ取れたのに、こちらはなかなか取れなかった。

理由は、親が送迎出来るんだから要らないでしょ、ダメなら送迎車に乗れる施設にしたらいいでしょ? って……いやいや、送迎出来ないから言ってるし、近くは受け入れがないんですってば!

 

しかし、この「申立書」について、息子のために戦ってくれた担当職員さんがいた。

 

困り果てていると、役所から担当者という人から電話があった。

なぜその事が必要なのかを聞いてきた。きっと、捲し立ててしまったに違いないのに、私が話す間一切口を挟まずに全部聞いてくれた。

声はまだ若い男性の様だったので、いわゆるペーペーの職員だなと思った。話しだけ聞いて、後は無理で〜す! と言われて終わるかと思いきや、その担当者は「上に懸け合ってみます!」と言った。

これには驚いた。耳を疑った。この担当者、自ら交渉を請け負うなどと言うなんて。

 

経過は随時報告してくれた。普通、交渉の後は決定事項の連絡だけでもいいだろうに、きっと時間が掛かってしまっていることを気にしてくれていたんだろう。

話しの中から、何度も何度も交渉してくれていた事がわかった。その中には「僕は頑張っています」というものは微塵も感じられなかった。むしろ、何度も申し訳ないと言われた。

これは戦っている、戦ってくれている! こんな人、いるんだ!

そう涙が出そうになった事もあった。

 

それでも「上の人」はハンコを押してくれなかった。それで、その担当者は考えてくれた。

本来、親の乗る車にヘルパーも同乗する事は認められていない。けれど、その内容なら押して、なんとか通りそうだと言って来た。少しはそれで役に立たないか? と聞いてきた。

調子が悪い時は、親と一緒よりもヘルパーさんだけの方がスムーズだから、出来れば親はいない状態が良いと伝えたけれど、「親の運転する自宅の車にヘルパーが同乗する」がマックスだった。

 

私は折れた訳ではない。最初の交渉からマックスに至るまでの経緯を知ってしまったから。

私は、「それ、使ってみます」と答えた。でも、担当者は「本当にいいですか?」と聞いて来た。いや、だってそれ、あなたが交渉して持って来たことでしょうに(笑)

続けて「スミマセン」と言われて、こちらも「スミマセン」と答えた。あとは長い時間戦ってくれたことに心から感謝している事を伝えた。

これからは「お役所仕事」なんて言葉は使わないことにしよう。

 

その内容ではどうやらハンコゲットで、すぐに決定通知が来た。

で、今も使っている。

昔ほど車内で暴れなくなったけど、やはり時々は修羅場がやって来る。本当のところ、その申立て内容はイマイチ使い辛いところがあり、使う頻度も少ない。しかし、もしなかったらお手上げ状態になることもあり、ないよりは断然あった方がいい。

 

今回の「申立書」にも、継続の申請のところに、「通所送迎時における介護者同伴での自家用車利用」という文言を書くことにしている。

また一年、大事に使いたい。正直、使いづらいんだけどね(笑)