宇宙人と暮らせば

面白親父、自閉症男子、理系(宇宙系)男子と私の、周りとちょっと違う日々を綴ります。

きっと、もう一度会いたいと思うよ。

今日は整形外科に行って来ました。

 

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まさか先月まで、自分が整形外科に通うなどとは思ってなかったよ。

だって、父の病院でも4階まで階段一気に駆け上がっていたし、仕事の放課後デイでは本気で子ども達と走り回って遊んでたからね。

腱鞘炎は徐々に重症化していったけど、膝の半月板は突然やってしまって、今は歩くことがちょっと辛い。

長男のお陰で痛みにはめっぽう強くなって、熱だって39度以上にならない限り寝ることもない私が、そもそも病院通いするなんて思ってもいなかったわけで……。

で、ヒアルロン酸の注射を打って来ました。

女優さんが顔に打つヒアルロン酸を、私は奇麗になるわけでもなく関節に痛み止めとして入れて来たわけです。

あんまり痛みも取れないけど。

 

さて、病院に実にかわいい天使のような顔をした女の子がいました。

奇声を発しながら走り回っている。

それを見守るように、いかにも絵に描いたように手を三角巾で吊った、小学校高学年くらいの男の子が立っていた。

男の子は「レントゲン撮りますよ」と呼ばれていて、すごく後ろが髪引かれるようにレントゲン室に入っていった。

すぐに判った。

女の子は重度の自閉症で、男の子はその子のお兄ちゃんだなって。

 

見ていると、お母さんもそこにいたのだけれど、たぶん上手く女の子には接することができない。

でも、それは責められるようなことではなくて、お母さんにも支援が要りそうな家族だった。

お母さんは座ったまま女の子を見ていて、時々「おいでおいで」をしては女の子を抱っこして女の子の動きを制限しようとするのだけれど、女の子は接触を嫌がる傾向にあるようで、抱っこは嫌がっていた。

感覚過敏は自閉ちゃんには珍しくないことなので、その女の子もそうだろう。

それで、レントゲン室から出てきたお兄ちゃんが、女の子の手を引っ張ったり、トラブルになりそうな時に抱えてその場から離そうとしたり。

お兄ちゃん、頑張ってた。

 

女の子は受付のプレートを手に取って、嬉しそうに両手で上に掲げてくるくる回って遊んでいた。

嬉しそうな女の子の顔に私はふふっと笑っていたが、正直お兄ちゃんからすると気が気ではなかったはずだ。

かなり混んでいた病院のロビーで、何度も何度も自分の番号が電光掲示板に表示されるのを待って、確認してはため息をついていた。

たぶん自分のことよりも、早くここから家に帰りたいと思っていたのだと思う。

 

幸いなことに、案外病院内で待っている患者さん達は、さらりと受け入れているように見えた。

嫌な顔をする人はいなかったし、時々危なくないか見守る人もいた。

けれども、お兄ちゃんのため息は重なる一方。

 

そんな時代、うちにもあったよ……。

家族はそんな時、走り回るし、ため息もつく。

けれど、いつの間にかだんだん楽しむことが出来るようになってくるから不思議。

 

長男4才、お腹に次男、時は臨月に差し掛かっていた時、長男の風邪で病院に連れて行ったものの、長男は元気で走る走る!

私が受付をして診察のファイルをもらっている隙に、長男得意の脱走劇!

私、お腹抱えながらも猛ダッシュ! 

追いついて長男を片手で小脇に抱え、もう片手でファイルを持って小児科の窓口に行くと、看護師さんに言われた。

「お母さん、それは妊婦さんがすることじゃないよ!」

私はというと「スミマセ〜ン」と言いながら笑った。

なんというか、だんだんたくましくなる自分に、変に笑いがこみ上げて来たりしていた。

 

最初の頃はビクビクしていたと思う。

大きな声を出さないように、走り回らないように、人に迷惑を掛けないように……そればかりが気になって、診察どころではなかった。

けれど、そう思えば思うほど息子は大きな声を出すし、走り回るし、嫌な顔をする人だってもちろんいる。

いちいち説明なんかしていられないし、説明したって「ハイ、そうですか」とはならない。

それを積み重ねていくうちに、すっかり息子に鍛えられて、大きな声が出れば合いの手を入れて息子を笑わかせ、走り回れば一緒に走り、嫌な顔をしている人がいれば「スミマセン」と頭を下げ、繰り返し繰り返し、そしていつの間にか病院のスタッフとも顔なじみになったりする。

 

いつも思うのだけれど、息子のやらかしは大きいが、人と繋がる不思議な力も持ってたりする。

 

あの女の子の家族も、いつの日か気付くと思う。

どんなに重い障害でも、その子なりの成長がある。それを見逃さないようにしていたら、面白いことはいくらでも見つかる。

そして私の場合、息子が教えてくれて、今も凄く大事にしていることがある。

「笑顔はうつる」

ということだ。

 

笑顔を見せると、息子は必ず笑顔で返してくれる。

それに気付いてからは、それを大事にし続けている。

 

もし来世で子どもが自分にやってくるとしたら、またこの長男と次男に会いたい。

もちろん、長男は今のままでいい。

この長男と次男だから、私は大声で「ガハハ!」と笑っていられる。

 

あの病院で見かけたお兄ちゃんのため息が「ガハハ!」に変わる日が来ると信じたい。

そうなれたら来世もきっと、妹ちゃんともう一度会いたいと思うはずだよ。