5月8日(リハビリの病院が決まる)
朝イチに、担当医から電話があった。
希望していたリハビリテーション病院が受け入れOKだから、そちらへ電話連絡してもらえますか?
という内容。
朝イチ掛けてくれってことは、はよ連絡せいっ!てことかな?
ってんで、リハビリ病院に直ぐ電話してみた。
感じのいい看護師さんが、見学来ませんか〜?
それから転院決めたっていいんですよ〜♪
と言って頂いた。
いえいえ、もう決めてますから(笑)
でも見学はしたい。で、行きます!と即答。
実は、このリハビリテーション病院は私の母が入院した病院と同系列。
全国に系列病院あるんだね。
それを数日前に教えてくれたのが、地元で臨床検査技師をしている友人。
仕事仲間さんからも、色んな情報を集めてくれた。
お陰であまり悩まなくて済んだよ。
有難う。
ということで、電話をしてから早速、もう午後には見学をして気持ちよく挨拶もできた。
私の母の入院した病院と、やはりよく似てた。
リハビリのスケジュールも、雰囲気も同じ。
何だか安心感。よかったよかった。
病院ご近所さんに、科学製作所。
旦那が何の科学だろう……とワクワクしてた。
何の開発? トランスミッション? バルブ??
テレビの影響大き過ぎ。
旦那の解説によると、この辺りは下町ではないけど、町工場が多いことで有名だって。
というわけで、明後日に転院が決まりました。
ここの風景とも間もなくお別れ……。
早く復帰したい次男は、リハビリをやる気満々。
どんなにキツくても、思い通りにいかなくても、それでも元気だった時のように、また仲間たちと笑って過ごしたいから、頑張ろうと思えるんだよね。
5月9日(助けてくれた病院にありがとう)
明日までということで、担当医、リハビリスタッフ、そして看護師さんが、挨拶に来て下さった。
挨拶しなきゃいけないのはこっちの方なんですが……本当に、今まで感謝以外にないです。
すぐに受け入れてもらえたし、命救ってもらいました。
この病院での最後の晩御飯。今日も(一口大)って書いてあった。
でも、全然量が足りないって。
それで、夜の8時台の夜食と相成りました。
フォークの使い方も上手くなって、母は密かに感動!
この病院での最後の晩餐。
一時期、なかなか食べれない時があったけど、ここまでになった。
ほんとうにほんとうに嬉しい。
ベッドから冷蔵庫まで、片足を出して体を支えれば手が届く。
それを何とか、今出来る動作で冷蔵庫の中のものを取って 、飲んだり食べたりできるようになったと聞いた時は、おぉ〜‼︎ っとなった。
やっぱり食べ物すごいや。
食べ物バンザイ‼︎
食べたい思いが、こうして体を動かすんだ。
でも、食べられるようになって、食べる楽しさを思い出せたからこそ。
食欲って、ほんと大事!
ただ明日の転院は、やはり本人も少し不安もあるようだ。
早く治りたいと「ガンガン、リハビリする!」と前向きな言葉をずっと言っていたけど、ほんの会話の途中の隙間に、ポソリと呟いた一言で、次男の本心が見えた気がした。
大学に復帰することを考えて、東京の病院を選んだけれど、その会話の中での言葉。
「退院、いつになるやら………」
本当は、悔しくてもどかしい思いが減っているわけではないんだろう。
5月10日(転院)
ついに転院の日。こんなに早く、次のステップに進めるとは思わなかった。
こうして座って食べられるようになりました。
一時は、もうちゃんと座って食べられないんじゃないかってくらい、深刻な格好で食べてたのにね。
まだスプーンは、指と指に引っ掛けてるけど。
最後の昼食。
ここの病院の食事は美味しかったそうです。
お箸に挑戦してみました。
「いけそうな気がする!」と前向きな姿勢。
「この持ち方、合ってんのかな?」と聞いてくる。
歩くこともだけど、箸の持ち方も忘れるのかも知れないね。
ちょっと震えたり、ポロっと落としたりしたけれど、最初から最後までお箸で食べれた。
すごい進歩!
何だか母の方が、ジーンと来てしまった。
担当医が最後にもう一度、挨拶に来てくれた。
「随分としっかりして来たから、この部屋の中を歩いてみない?」
という担当医の言葉に
「えっ?そもそも一人で立てる?」
と思った私を裏切って、私の目の前で次男は、自分一人で立って見せた。
そして、少し不安定ながらも一人で数歩を、一歩一歩、歩くことができた。
ぇえーーーっっっ!
驚き‼︎
クララが立った!
とは叫べないけど、驚いて 驚いて、嬉しくて嬉しくて!
次男が子供の時、初めて立って歩いた日、そして今、人生2度目の初めて立って歩いた瞬間を、母は目の当たりにした。
実は次男も、発病以来一人で立って歩いたのは、当然これが初めて。
本人は、歩けるんじゃないかと少し思っていたらしい。
それを、担当医にポンと背中を押された。
ここのリハビリスタッフは優秀らしい。
でも、リハビリだけに 特化した入院は難しいのだろう。
「まずは、立って歩くことを思い出すところから」 と言われたけれど、しっかり思い出すことが出来たんだね。
感謝の気持ちでいっぱい。
ただ立って歩くことが、こんなに嬉しいなんて。
微熱も、息苦しさも、まだ感覚のない足や手も、リハビリで体力と筋肉が付いてきたら改善されていくはずだよ、と担当医が言った。
担当医の言葉に、治療という段階が終わったことを、心底噛み締めることができた。
追跡サポートとしてまた病院においで、と言われたので、半年後の予約を入れた。
その日に、こっちにも顔出して!とも。
半年後はきっと、普通に歩いていると思うから、お世話になったお医者さん、リハビリスタッフの先生達に会いに行こう……次男が笑顔で 呟いていた。
感謝しつつ病院を出る時、たくさんの看護師さん達が見送ってくれた。
本当にいい病院でした。
助けてくれて、本当に有難うございました。
リハビリの病院へは、介護タクシーで移動。
移動中に高校時代の友達から電話が掛かってきて、その時初めて次男の病気を知ったようで、明日来るから!と言ってくれたようだ。
色んなことが有り難くて嬉しい。
そして、リハビリの病院に到着。
手続き後に病室へ。
車椅子移動が多いからだろう。部屋も廊下も広くてきれい。
そして今回は5階。2人部屋の窓側。
お隣の方は、ずっと奥さんが付き添っておられて、とても優しいご夫婦で良かった。
窓は南向きで部屋も明るい。
外に目をやると、さっきまでいた病院の窓からも見えたスカイツリーが遠くに見えた。
転院後、初のリハビリ。
まずは理学療法士さんが次男の状態を知ること、そして一緒に歩行器を使って歩いてみること。
まだ、脚を少し交差させて立つのは出来ないけれど、普通に立つことは不安定ながら出来る。
どんどん頑張って、早く退院する!
本人からも頼もしい言葉が聞けた。
少し自信がついて、先の見えない恐怖から解放されたんだろうな
けれど、今日は色んなことがあって忙しく、リハビリまでこなして疲れたね。
夕方にはぐったり。
今日はゆっくり休んで、明日からリハビリ漬け。
頑張っていこう!