宇宙人と暮らせば

面白親父、自閉症男子、理系(宇宙系)男子と私の、周りとちょっと違う日々を綴ります。

注射針の壁はとうに越していたという話

まるまるのスズメたちがすごいです。

まるまる・・・ちょっとつついて遊んでみたくなるくらいに可愛いまるまるです。

 

暖冬の九州と言われていますが、ちゃんと鳥たちは冬仕様。

そしてわたしもまるまると・・・いやいや、服がですね、服がですよ!(汗)

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わたしがスズメたちを指差して「まるまるだよ!見て見て〜!」と言ってみても、全く興味を示さない長男。

 

長男の方はというと、スズメよりも自分の頭を指さして「あっあっ!」と私に訴えてくることが増えました。

ただね、最近「あっあっ!」の口の端がみょ〜に上がってて、にやけているように見えるんですけど・・・う〜ん、怪しい・・・。

 

細かい発作の嵐か、はたまた頭痛か、それとも・・・わたし、なんか試されてる?

目を見開いて薄らニヤリの長男を見つつも、何だろう・・・この敗北感は。

 

そんなこんなで、近いうちに脳波を取ろうという話になっています。ただ脳波は小さい頃からハードルが高かった。

検査には時間が掛かりますが、その間に動いてしまうと、頭にくっつけた電極の線が外れて脳波は取れないので、じっとしていられない小さい子どもの間は、麻酔薬を飲んで静かになったところで電極の線を繋ぐというのが一般的。

 

けれど大人になって、睡眠薬を飲んでの検査とはあまり聞いた記憶がありません。

長男は子どもの頃の検査でも睡眠薬は効く方じゃなかったし、大人になっての検査で「動くな」とは本来、難易度Eですぜ。

 

世の中「動いたら検査できません」が多過ぎて頭痛い。

 

そういえば3才になったばかりの頃に、大学病院で初MRIを取った時もそう。

「動いたら検査できません」ってんで、説明の後、先生が甘い味の睡眠薬を息子に飲ませて長男が眠るのを待ちました。

けれどそれから30分経っても、ヒャハハと笑いながら病院の廊下を走り回るアクティブさ。

先生が苦笑いしながら「もうちょっとだけ薬増やそうね」と追加を持ってきて、その後ずっと眠るまでニコニコと待っててくれた。

記憶の彼方に、私たちは3時間以上そこにいたような・・・。

 

そんな過去もあり、睡眠薬の効きが悪くてアクティブな長男の、その後にも挑戦した脳波の検査なんて結果が知れてた。

「検査不可能」

はい。しょうがないっす。

 

それでも保育園生の時だったか、一度だけ、少しの時間ではあったけれど、ギリ脳波が取れたことがあって、やっぱりその時も先生も技師さんも眠るまで散々待ってくれたのでした。

そしてしばらく経って目を開けて、頭についている電極を勢いよくぶん投げたのを今でも覚えている母です。

まぁ、あんな機械付けられてたらねぇ・・・とは思うけど、検査なわけだし。

 

あ〜、すみません、すみません、と謝るわたしに、先生以下病院スタッフは優しくしてくれました。

結局、検査が終わったのは夜の7時を越してて、病院を出るときはスタッフ出入り口みたいなところから外に出た記憶が。

 

あの時の周りの対応が優しかったので、本人はもとよりわたしもトラウマにならずに済みました。

ありがたい話です。

 

ただ、おかげで今でもちょっと脳波検査にはハードルの高さは感じます。あの電極ぶん投げ事件が今も目の裏に焼きついていまして・・・。

 

で、下の写真はその時の脳の波形です。意味は・・・???

ただ、特段気になるところはナシ!という診断でした。

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そして現在ですが、実は挑戦はできそうな気がするんですね。

難易度Eなのに矛盾のようですが、それでも長男の成長ぶりを考慮すると、何だか今ならできそうな気がするんです。

「動いたらいけません」は酷だとは思いますが、でも、今なら。

 

親って、こんな不確かなことも信じたりして、しかも子どももそれを超えて行ってくれたりするんですね。

 

その現場に居合わせられたら、あ〜、親冥利に尽きる!なんて思ってしまうんです。(かなり外れてる気も……)

実は酷なことさせて我慢させているのにね。

親バカって、こんなことを言うのかも知れません。

 

さて、今回のお題、注射針についてですね。

やっと出てきたのか・・・と思うかも知れませんが、最近、人気を博した池井戸ドラマだって、毎回ストーリーが半分進んでからタイトルが出てきていたじゃないですか。

それにあやかり・・・

 

(以上言い訳)

 

実は息子のクリニックで、担当の先生とカウンセラーに常々、長男のこの頭指し問題について相談をしていたわけです。

 

発作や頭痛もさることながら、体調自体、本当のところどうなのか気になるよね?

などと話していて、そんなこんなで現在服薬している成分について血中濃度を調べたいし、他にも色々調べたいから、採血ができないかな?

でもね、注射針刺したことでトラウマ作りたくないし、難しいかな・・・と担当の先生からのお言葉。

 

「動いたら検査できません」

もとい「動いたら採血できません」・・・ここでも発動されるわけで。

 

長男側に立ってすごく考えてくれている先生は、う〜ん・・・と厳しめの顔をしていましたが

「いや、先生、今ならできると思います!」

とわたしは言い切ってしまいました。

 

えっ大丈夫!?と心配する先生をよそに、多分自信満々に(見える)わたし。

 

これこそ不確かなことです。

でも、今ならできると思ったんです。

 

確かに、小さい頃は注射針が腕に近ずくと奇声を発して、腕を引いて逃走体制に入ったものです。

あなたの育てかたが悪い!と散々怒った医師もいました。もちろん、理解ある医師もいました。

 

採血というと、注射針が刺さっている時間は以外にも長い。ワクチンや予防接種とはまた違います。

 

 

ところで、実は数年前に担当の先生から紹介してもらった外科で、これまた脳波と同じパターンで一度だけ採血に成功したことがありました。

その病院での先生と看護師さんの、長男の動く隙を与えない連携と針の刺し方は、それはそれは鮮やかで惚れ惚れするものでした。

 

でも、今回も成功するとは限りません。その時と場所も違うし雰囲気も違う。

それでも前向きに思える材料はもう一つありました。

 

通所施設では毎年、インフルエンザの予防接種を施設内でやってもらえるのです。

それに毎度、長男に付添う旦那の話によると、周りのみんなが泣き叫んで修羅場となり、地獄絵と化している最中を、長男は刺さっていく注射針を凝視して、微動だにせずに静かに終わらせている・・・と。

 

予防接種と採血は違う。

でも、不確か、不確か・・・という文字が頭の中で一周回って「確か」に変わった瞬間、今ならできる!と言葉に発していました。

 

とはいうものの、その日から採血までの2週間、絶対の自信があったわけではありません。でも、不安もそれほど強くもなく、なんとなく過ぎていきました。

 

そして当日、長男に針を刺すところをつついて、ここに針を刺すこと、血を取ること、終わったらジュースがご褒美に待っていることを伝えて、旦那とわたしと長男の三人でいざクリニックへ。

 

ジュースを先に買ってちらつかせ、終わったら飲もうと伝えると「あっ(はい!)」と返事。

看護師さんに「座ってしますか?横になってしますか?」と聞かれ、旦那が「横になっていいんじゃない?」の一言にすぐ反応した長男は、ベッドに自分で横になり、自ら腕を差し出しました。

 

おぉ〜!!

 

やっぱり注射の針が刺さる場面を凝視して、静かに静かに採血を受け入れた長男に、「壁は超えたー!」「いや、とうに超していたー!!」と確信した旦那とわたし。

 

採血が終わって、長男は何事もなかったかのように約束のジュースを要求。一気に飲み干しましたとさ。

 

う〜ん、また一つ成長を確認。長男、すごいよ!

いや、実はすごいのは、ご褒美のジュースだったのかも・・・(笑)

 

結果はまた後日、というわけで、長男と旦那は先にクリニックを後にしました。その後施設に向かい、長男はいつものように、わたし達が迎えに行くまで施設で過ごしました。

 

わたしはというと、その後にカウンセリングや担当の先生と話がまだ残っていたので、そのままクリニックにいました。

そして、先生が「よかった〜、採血できましたね!」とホッとした表情で話された後、ちょっとニッと笑って

「注射、好きなタイプかも」・・・と。

 

自閉ちゃんにはたまにいるんですよね。「注射好き」が。

 

小さい頃は大変だったけど、今回見ていて

「実は先生、わたしもちょっとだけ、そんな気がしたんです・・・」

 

と思ったのは内緒。

 

 

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