数日前、放課後等デイサービスの私の職場のスタッフから「講習会の講師の方から、先生のお名前が出てましたよ」と言われて「はい?」となった私。
よくよく話を聞いて納得。「息子さんのことを、よくご存知でした」だそうな。
私の名前は、長男の延長線上に出てきたわけですね。
それもそのはず。講師の方は現役のヘルパーさんで、今も長男が行動援護(重度の障害児・者の移動支援)でお世話になっている方でした。
そのまた数日後に、タイミングよくその方との行動援護が入っていたので、職場のスタッフが講習会でお世話になったそうで、有難うございました! と伝えると、そのヘルパーさんが
「いやぁ、そこでもヒロキ君の話しをするとは。でも、最近もよくヒロキ君の名前を聞くんですよね」
と一言。
えぇっ、最近おとなしくしてるんで、鳴りを潜めていたつもりが、未だに名前は轟いたままなんですね! やはりと言えばやはりなんだけど……(笑)
苦笑の私に
「今回の講習会でも、ヒロキ君にモデルとして参加して頂こうかという話しが出てたみたいですよ」
なるほど〜。そういえば、何度かそんな講習会のモデルとして依頼を受けたことがありました。
講習を受ける人達に対して、講師がモデルとなった子どもに実際に支援を行なって見せた上で、さらに講習を受ける側が、モデルに対してアプローチを行なったり、グループでディスカッションする、実践型の講習会です。
結局、モデルは別の子になったようですが、未だに長男の名前が、この市内の障害者福祉の世界で轟いていることに「長男、恐るべし!」と笑ってしまう母なのでした。
けれど、よくよく考えると、長男に対してそれだけの人達が関わってくれて、支援をしてくれていること……たくさんの人達が、長男のために考えを巡らしてくれていること……難しい障害がある長男を、それだけ理解をしようとしてくれて、実際に向き合ってもらっていること……。
それが、長男の名前があちらこちらで聞かれることにつながっているんだなぁ、と、しみじみと思ったのでした。
長男を忘れられたところに追いやることはなく、長男をいつも真ん中に置こうと頑張って下さる方々に、本当に感謝します。
辛い思いもたくさんしたけれど、世間の色んな人達にも、長男のやらかしでたくさん謝って来たけれど、それ以上に長男がいなければ、こんなにも人に感謝することもなかっただろうなぁ。
そういえば、職場のスタッフはこんなことも言っていました。
「息子さん、行動援護では何時間も歩くそうですね! 元気なんですねぇ!」
昔は更に走ってたけどね。
走っても歩いても、何時間も一緒に付き合ってくれるヘルパーさんや事業所のスタッフさん達には頭が下がります。
不思議なことに、長男を支援してくれる人達の多くは俊足でした!
何処へ走って飛んでいってしまうかわからない長男を追いかけたり、そんなことを何年も繰り返して、今は楽しみながら歩く長男を守りながら歩いて下さっているんです。
人の繫がりはすごい。人の繫がりは暖かい。
長男の周りは、そんな人達でいっぱい。
けれど、一般的にも障害者の福祉業界では、どんどん人が減っている現状があります。
その歯止めをかけるには、どうしたらいいんだろう。長男の周りも、その波は止められない傾向にあります。
感謝の先に、これからもずっと関わってもらえるかどうかの不安と、それでも生活のために辞めるスタッフを引き止められない現実と、親にできることはないのかというジレンマとが入り交じります。
ただただ願うことしかできません。
人と心で関わることを生業にしている人達が、自分自身も安定した暮らしをしていける、そんな日々が実現しますように……。
そして、長男もまた、人を好きなまま、この先もずっと人と関わり続けていけますように……。