宇宙人と暮らせば

面白親父、自閉症男子、理系(宇宙系)男子と私の、周りとちょっと違う日々を綴ります。

次男の旅立ち

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さて、次男はお陰様で大学院を無事に卒業する事ができました。

 

大学4年生の春に、早々に推薦で大学院入学を決めていましたが、直後にギランバレー症候群を発症して入院を余儀なくされました。

もし推薦に落ちていたら、あるいは一般入試であったなら試験勉強の余裕もなかっただろうし、大学院の2年間はなかったかもしれない。

 

もうひとつ良かったのは、奨学金返済が6年間分であったところ、大学院の2年間の分は全額免除が通ったこと。

なんにせよ、頑張ったことは実際に色んな成果を出せたことで解るし、親としても学費や生活費、住居費などなどなど、資金面でも頑張ってきた旦那には、大変お疲れ様でしたといったところかなと。

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卒業式は本当は両親揃って、そしてできるなら長男も連れて次男の晴れ姿を見たいところでしたが、さすがにそれは難しいので、今回は私が行くことにしました。

6年前の大学入学式は東京住まいの長かった旦那に行ってもらい、住居探しから様々な契約まで頑張ってもらいました。

その間、私と長男はお留守番。

 

そして大学卒業の年はコロナが猛威を振るい、卒業式は各学科の代表数人のみの参加、大幅に縮小された式典でした。

しかし、折角だからと大学に集まった学生たちが、大学で写真を撮りあって、その後集まって飲食もできないことで、そのまま別れたという寂しいものでした。

ちなみに卒業式の日、その行事のことををすっかり忘れていた次男は、研究室に篭っていつものように研究を続けていたのでした。

 

そして大学院の卒業式当日。

私は初めて次男の大学を訪れ、次男の晴れ姿と共に、周りの友人たち、ドクターの先輩、後輩たちと次男の楽しげな姿を眺めながら、良い友人たちに恵まれていたことを知り、心の中で頭を下げました。

 

次男は大学の中も案内してくれて、関係者以外は入れない屋上の望遠鏡も見せてくれました。

精密機械なので気温にはとりわけ神経を使い、夏は効きすぎるほどの冷房の中、寒い冬の空の下でも、暖房もつけられず凍えながら眺めたという望遠鏡。

それでも、何時間でも飽きずに眺める事ができたと。

 

小学生の小さな次男に、私の父が贈った小さな望遠鏡。

その時から、次男は宇宙に関わることを生業にしたいと思ったと言っていました。

 

私の父は法学部で学科は違うものの、次男は父の後輩になります。

天国の父も喜んでいるでしょう。

 

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次男が任されていた望遠鏡。


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向こうに見えるのは新宿。


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次男はこの後駅まで送ってくれて、友人たちと食事をするとのことで戻っていきました。


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卒業式の日は桜もまだ満開とはいきませんでしたが、その日を境に急速に街中をピンク色に染めていきます。

東京の街は桜の木が多く、本当に綺麗な桜並木をあちらこちらで見る事ができました。


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卒業式が終わると、一気に引っ越し準備に取り掛かりました。
今回、これが私が東京に来た大きなミッションのひとつでもありました。

卒業はしたものの、翌日からも次男は大学に投稿論文の関係で行ったり来たりで、なかなか片付けの時間が捻出できず、それで少しの時間を見つけては段ボールに荷物を詰める作業をしていました。

 

そうやって無事に引っ越しを終え、荷物は入社する会社が用意してくれた社宅に収まり、あとはマンションの鍵を不動産会社に返すところまできました。

その日も次男は大学に行かなければならなかったため、私が不動産会社の方に対応することにしました。


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不動産会社の人を待つ間に、6年間お世話になった、すっかり荷物のなくなってしまった部屋を眺めながら、この中にあれだけの荷物があったのかと、6年間の生活の跡は、荷物のなくなった部屋の中にも空気感として残っていて、なんともノスタルジックな気持ちになりました。

 

不動産会社の人が来ると、部屋の確認をして「こんなに綺麗に使っていただいてありがとうございます」と言っていただけました。

清掃費だけ敷金から引きますとのことで、いよいよ鍵を渡すと、不動産会社の人に玄関で見送られて出てきたのですが、それが何とも変な感じがして、その瞬間に次男が住んでいたことは過去になってしまったんだなぁ・・・と、もう入ることのないマンションを出て、次男の住んでいた部屋の窓を見上げたのでした。

 

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私はその窓に向かって小さく頭を下げると、新居の社宅に戻る前に、次男がギランバレーの時にリハビリと称して散歩をしていた場所を少し歩くことにしました。

 

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残念ながら、私の東京滞在期間は曇りの日ばかりでした。

それでも昨日よりも桜は多くの花を開いて、春を教えてくれました。
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住んでいた近くにある神社。

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葵の御紋に少しテンションが上がります。


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あのリハビリの日々を思い出しながら、散歩をもう少し続けます。

                         (つづく)