宇宙人と暮らせば

面白親父、自閉症男子、理系(宇宙系)男子と私の、周りとちょっと違う日々を綴ります。

リハビリの道を歩く(次男の旅立ち)

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前回からの続き。

 

次男が大学4年生の時、発症したギランバレー症候群。
寝たきりから何とか歩けるまでに回復した後、退院してからも心配な症状は続いていました。

 

頼りない足取り、瓶の蓋すらまだ開けられない状態からの退院。
それでも、日常の動作から回復を目指すことが、入院を続けるよりも精神的に負担が少なく回復も早いという病院側の判断からでした。

 

いや、何より次男自身の「帰りたい」という気持ちが大きかったのです。

 

確かにそれから、日常の中で暮らしに支障がないくらいに回復をしていくのですが、退院後は体が固まらないように、おぼつかない足取りでリハビリと称して散歩を日課としました。

 

あの日々を思い出しながら、今回はひとりの散歩です。

 

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護国寺

次男と歩いていた頃は、猫がたくさんいるお寺と聞いていましたが、その通りに何匹かの猫さんたちと遭遇しました。

いやほんと、あちらこちらに自由人、いや、猫たちが・・・。

 

(あの時の猫たち↓)

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自由な方達(猫)とまた会えることを期待しつつ、このお寺の守護神様たちに通行許可を得るために、ぺこりと頭を下げて、仁王門をくぐらせていただきました。


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通りま〜す。


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ぺこり。


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当時はこの階段も難関でした。
ゆっくり倒れないように、一段ずつ登ったのでした。


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けれど、慎重に登りつつも思ったよりスムーズに階段を登る様子に、病院でのリハビリを頑張ったんだなぁと実感したのでした。

 

そうして不老門をくぐると観音堂が。
これからの子供たちが、健やかで過ごせるようにお願いしました。


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ところで、階段を上がる前から思ってはいたのですが、あの自由な方達の姿が全く見えません。

どこで自由行動をしているのでしょう。

 

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その代わり、桜の花たちが迎えてくれたのでした。


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天気が悪いので、新緑の青さが写真ではわからないのが残念です。

それでも、目には美しい若い緑の木々の葉が、次男のこれからに希望をくれているようで、なんだか嬉しくなったのでした。


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お大仏様、あの自由な方達は何処に・・・?


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どこにも姿が見えません。


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ここには六地蔵さまや身代わり地蔵さまをはじめ、多くのお地蔵さまがいらっしゃいます。

その中の「一言地蔵さま」は、一言だけ願いを叶えて下さるとのことで、当時は子供たちが健康であるようにお願いしたのでした。

 

今回は本殿でその願いを主張してきたのですが、お地蔵さまには次男が病を克服したこと、無事に大学院を卒業したことを報告し、お礼をお伝えしました。

 

ちなみに、次男は何度お地蔵さまにお願いをしたかわからん・・・と言うとりました。
どんだけ他力本願なん?(笑)


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大仏さまと多宝塔、その間に咲き乱れる桜がなんとも綺麗でした。
あとは晴れてたらよかったんやけどなぁ・・・。


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しだれ桜が見事で、カメラ小僧ならぬカメラおじさん達に囲まれて、モデルばりの活躍を見せていました。

たくさんの綺麗な桜たちの写真が、そのカメラマンたちによって世に出たことでしょう。

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白い桜の花と


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ピンクの桜の花たちが


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すっかり私を癒してくれました。


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下界には春になった東京の街。
田舎者の私には、眩しい限り。
この街で次男は暮らしていたのだと、しみじみとした感情が湧きました。


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あの時も、次男と覗き込んで「金色だ、金色だ!」と盛り上がった手洗い水盤。
今回もしっかり覗着込んで、心の中で「金色だ!」と一人盛り上がりました。

しかしこの手洗い水盤、自噴式で湧水を利用しているというから驚きです。


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さて、再び仁王門をくぐってここを出ます。
あの日々を思い出すには充分の場所でした。
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結局、自由な方達とは一度もお目にかかれず。
おかげで、また訪れなければと、なんだか次回持ち越し的な感覚で護国寺を後にしたのでした。


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この街は緩やかな坂も多く、階段も多い。


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細く入り組んだ道が、リハビリ散歩をさらに面白くしてくれていました。


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病院では何度も階段の上り下りの訓練をして、疲れ果ててベッドで眠っていた次男ですが、確かに坂道と階段の多いこの街には、自然とリハビリができてしまう日常があったのです。


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病院の階段でのリハビリをするという目的よりも、郵便局に行くため、買い物に行くため、その目的のために、この街並みに普通にある階段を昇り降りすることの方が「精神的によい」と言われたことは、確かに間違っていなかったと思うのです。

 


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こんなに面白い街並みがそばにあったこと。


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生活感のある空気の中で、こんな風景を愛しみながら次男は過ごしたのでしょう。

 

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この街を離れることが寂しいと言った次男。
散歩していると、それがとても解る気がするのです。

 

次男を受け入れてくれたこの街に感謝しながら、そろそろ新居に戻るために地下鉄へ。

このお話、もう少し続きます。

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