宇宙人と暮らせば

面白親父、自閉症男子、理系(宇宙系)男子と私の、周りとちょっと違う日々を綴ります。

都市高逆走の話し(車じゃない方)

私の職場の若い子が自閉症の講習会を受けて来ると言ったので、講師が誰か聞いてみると、長男の養護学校(現・特別支援学校)時代に大変お世話に・・・というか、悩ませてしまった先生だった。

割とこの地域のこの世界では有名な先生なんだけど、ウチの長男はその上を行っていて、どんなに物事を構造化しても、どんなに整理してみても、全て台無しにしてくれていた。

申し訳ないというか、ウチの自閉ちゃん、自閉症の中の定型と違うんでないの?ってくらい、自閉症の中でも変わっている。

もう、ここだけでは書ききれないからぼちぼちと・・・(笑)。

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きっと、ウチの息子の名前は忘れられないだろうから聞いてみてよと言っておいたが、やはりというか当然覚えられていて、しかももう一人の講師の先生もウチの長男をよく知っていて、(というか、障害重過ぎて有名人)名前を言った途端、「あの、都市高を逆走した子でしょう?」と逆に聞かれたそうで・・・。

 

あ、それね。

数ある武勇伝の中の一つ「都市高逆走」がトップ3あたりに入っている感じなんだそうな。

てか、料金所で捕まったので逆走まで行っていないんだけど。

 

その頃の長男は未遂も含めて日に5〜6回は家から脱走していた。

足が速いので私では追いかけられず、いつも車で追いかけていたけど、ちょっと細い路地に入り込まれると車の進入が出来なくて逃がしてしまう。

その日も同じで、見失った後私はてんで見当違いの場所を探していた。

 

暫くして私の携帯が鳴って、出ると養護学校のS先生だった。

S先生は流通センターのあるトラックや車の多い道路を、実に良い姿勢で走り去る息子を見かけて、都市高の料金所に向かって裸足で走って行く息子を止めようと、なんとその交通量の多い道路の都市高の登り口の下に自分の車を乗り捨てて、息子を自分の足で走って追いかけてくれた。

料金所で息子が御用となった所で、私に連絡をくれたようだ。

取り敢えず、逆走はしていないという事なんだけど・・・。

 

時間的にも渋滞が激化している中、S先生にも料金所にも、S先生の乗り捨てた車辺りを走る車も、都市高に入ろうとする車にも、迷惑をかけてしまった。 

私が何度も謝っている間も息子は平然としていたけど、多分マズいなとは気付いていたと思う。

S先生は料金所で息子をむんずと捕まえたまま、肩で息をして髪も乱れ、若いお姉さんなのに、その時は一気に5才年を取ったかのような疲れた姿だった。

 

私は車で追いかけていたので、車でそのまま都市高の料金所まで来てしまったが、追いかけるために家を出る時、免許証と携帯しか持って出なかったので、お金の持ち合わせがなかった。

それを料金所の職員さんに伝えると、一枚のメモ紙みたいな書き付けを渡されて、それには「未払い600円」と書いてあった。

「あの、この子、療育手帳を持ってるんですけど・・・。」と言ってみたけど、料金所の人は「あぁ、そう。これは次に通る時に払ってね。」とだけ言われたので、「はい。」と返事して、S先生にもう一度お礼を言ってからそのまま都市高に乗って家に帰った。

療育手帳は都市高料金が、本人同乗で半額になるんだけど・・・。

皆様に迷惑を掛けてしまったし、ちゃんと後日、都市高に乗った時に600円支払いました。

さすがにここで療育手帳を出して、割引してもらうのは気が引けたし。

 

ただひとつだけ、S先生の話しでは信号機が赤の時は横断歩道で止まって、青になってから渡ったとか。

命に関わると思って、何とか覚えてほしいと4年間信号を教え続けていたけど、結局理解は出来なかったと思っていた。

思わぬ所でそれをちゃんと理解出来ていたと分かって、そこだけは何だか報われた気がした。

 

どうやら、この話しが講師の先生方のトップテン上位入りだった模様。

でも、ウチでは上位はまだまだ他にもありますよ・・・。

なんせ自閉症の定型から外れた自閉ちゃんなもので(笑)