宇宙人と暮らせば

面白親父、自閉症男子、理系(宇宙系)男子と私の、周りとちょっと違う日々を綴ります。

「退院したいと言っちゃったけど……」次男、絶賛リハビリ中

5月18日

姪っ子が置いていったリハビリ用のサメは、転院した今でも次男を見守っています。

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6月3日に退院と思いきや、3日に面談でした。

それから早々に退院できるか、日程等を決定するんだそうな。

最短で6月の上旬。3日は母のとんでもない勘違いでした。

でも本人は中旬より前には退院したいらしい。

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3日から少し日程が伸びても、母の心配は今のところ薄れもせず。

今日も辛いとは口には出さず、けれどジレンマだらけの次男の姿を目の当たりにする。


だって、あの敵は常に側にいる。

痺れという名の、殆ど無感覚という名の、どうしようもない敵。


今日、初めて院外に散歩に出たらしい。そして、初めての院外でコケている。

足が上がらない、普通に歩けた感覚が戻らない。

坂道を下ることに、初めて恐怖を覚える。


人は目で見たことで、感覚的なものでも認識できるらしい。

でも、物に布を被せて視覚によるサポートを取り除くと、布の中の物が全く取れない。何に触れているのかも分からない。


キャッチャーだった息子が、キャッチャー座りが出来ず、見事にコケる。

綱渡り歩行は、よろけて壁がないと支えもなく倒れる。


ベッドで横になって、タオルを真上に投げたつもりがワイルドピッチ! 

野球で、こんな練習いつもしてたのに……と、どうやら出来なさ過ぎて情けなくなっているようだ。


担当の理学療法士さんが、退院は少し早過ぎないか?と言ったらしい。

プロが言ってんだよ。見守ると決めたけれど、そのセリフに……本当だよ!本当だよ! と心の中で繰り返し頷いてしまう私。


それでも自分は、痺れが取れるのも、感覚が戻るのも時間が掛かるのだから、だったらもう退院して、元気な頃に計画していたものを全部実行しようとさえ思っているようだ。

 

何かをやろうと、目標を持つことは大事だ。それが励みになるから。

それに向かって頑張ることは賛成だけれど、でも、達成のために無理することとは違う。


まだ若いのだから、色んなことのチャンスはふんだんにある。

私のように歳をとった者であればともかく、まるで生き急ぐようなことは、しなくても良かろうに。

 

今日もお菓子の袋とペットボトルの蓋を、まるでコントかのように凄く苦労して、必死になりながら開けた。

普通に開けられる側からしたら、本当か? と思えるほどに出来ない。

本人は出来るようになったとは言うけれど、あの必死さは見てて出来ているとは言い難い。


焦るなと言っても、もう少し何事も出来るようになってからでもいいんじゃないか? と言っても、今は大丈夫しか言わない。

 

とにかく痺れが取れて感覚が戻り、今より筋力が付けば、全ての動作が出来るようになると次男は思っている。


さて、どうしたものでしょう。

私には何もできないのです。私の方が情けない。

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本当に、リハビリとは精神との戦いだ。

プロのサポートは、回復期には絶対に必要なことだと心底思う。

心が折れても、辛くても、それでも続けることができるのは、そのプロのサポートあってこそ。

これがなくなると、自分でリハビリ出来たとしても、しっかりとした心を保つのは大変になるような気がしてならない。

 

見守るとは決めているけれど、もう少し安心出来る形で退院して欲しいなぁ。

差し当たって、あと少しでどの位のことが、日常に戻って苦労しない程度に出来るようになるのか、それを見極めることが大事かな。

余りに酷かったら、リハビリのプロ達もゴーサインは出さないだろう。

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今日の福岡チームは献立がピカタだったらしい。

もうすっかり、献立に関しても安定の域に入っております。

「退院したいです! と言い切っちゃったので……」次男、絶賛リハビリ中

5月17日

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コレクションが増えてます。4面体から、いっきに24面体。

リハビリ邁進中。  

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こうしてスマホも、落とさずしっかり握れます。

 

さて、今日は医師と看護師さんと療法士さん達との面談があった。


進展具合と現状の問題点などの報告が主で、リハビリ自体はスタッフさん達の尽力と本人の努力で、いい方向に向かっているとのこと。


ただやはり、筋力がまだまだ弱いので、体力的にも疲れやすい状況は変わらない。

リハビリを続けることで、更に向上を目指しましょうという説明だった。


もう発熱もない。転院してから、病気による問題は起こっていないので、これから悪化していくこともない。

後遺症も見られない。


 麻痺が取れて、痺れがなくなるまでに、正直この先何ヶ月かかるかは分からない。

でも、それをリハビリでカバーして、完治も早まるようにはできる。

発病前の状態に早く戻れるかどうかは、どれだけリハビリを頑張れるか、やはり本人次第ということのようだ。


やっと「完治」という言葉も聞くことができた。

この病気の特性から考えたら、次男の場合は、あっという間に悪くなって、速いスピードで完治に向かうことができたんだと思う。


そして最後に、医師から「何か質問はありますか?」と聞かれた。

すると次男は、多分聞くだろうと私が思っていた通りの質問をした。

一番聞きたかったことと分かるくらいに、体も前のめりだった。


「いつ退院できますか!?」


あー、やっぱり聞いちゃったよー。

でもこの面談でなければ、きっと聞けないと本人も思っていただろう。


早く退院できたらいいなとは思う。

ずっと私でさえも願って来たことだから。

でも、今のこの状況を見ていて、大丈夫かなと思うのも正直なところ。

けれど、もう本人はどんな質問にも「大丈夫です!」「出来ます!」以外には言わない。


じゃあ、1ヶ月後くらいを目標にしてみましょうか?

と医師が期限を初めて口にした。

どうですか? と聞かれた次男は

「はい!退院したいです!!」

 

まるで心の叫び(笑)


その後の話からは、色んなことが決まっていくのが早かった。


「では、早く退院を希望ということで、来月の2週目では遅いですか?」

「……はい」


「では、1週目だと、何日がいいとかありますか?」

「一番早い日にちで!」


とにかく、次男は退院可能な一番早い日を設定して欲しい!というオーラをガンガン出している。

そして……


6月3日の退院を目標とする


ということで決まった。


ほぼ自分で設定しちゃったからね。

もう、あとは突き進むしかないよね。

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正直、母は少し不安です。

こうして後ろから、歩行器を使って歩く姿を見ても、やはりぎこちない。

意識せずに、普通に歩いている姿とはまだ違う。


体力と筋力は努力で付けられるとして、このぎこちない動作を修正してくれるプロから離れるのだから、やった! と両手を上げて喜べない私がいる。


あんなに早い退院を願い続けたのに、ちょっと思っていた退院の形と違っていて、 気持ちに矛盾が生じてしまっていることに、私の方が戸惑っている。 


でも、次男自身はスッキリした表情だった。

「退院」 という言葉を聞きたかったのだろうから。

そして、それは不安よりも、その先の希望や元の生活に戻れることへの喜びの方が強いのだろうから。


来週、外出許可を取って、リハビリスタッフさんと一緒に、病院から自分のマンションまで電車移動をしてみることになった。 

マンションに着いたら、生活のための動作確認と指導を受けて、再び病院に戻り、あとは退院に備えるということになる。

 

次男の質問から、一気に退院に向けて動き出した。


そして、医師から私に質問があった。

「お母さんは、退院後すぐに帰られるんですか?」

私は、しばらく数日間は、日常生活を送れることを見届けてから帰ろうと思うと伝えた。

医師は「そうですね」と言った。


そこをわざわざ聞かれたことも少し引っ掛かったけれど、やはり、そこまではやっておくべきかと。

医師も、多分それがいいという意味の「そうですね」だったんだろうと。


嬉しいだけのはずの退院が、思いの外、複雑な感情が入り混じってしまったけれど、頑張っている本人の気持ちと努力を尊重して、とにかく寄り添うことにしようと決めた。

 

退院の日は、この思いがすっかり晴れていればいいな。

あと少し、しっかりと見守り見届けよう。

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それにしても、福岡チームの進化はすごい!

次男の進化とともに、父の家事能力、長男の落ち着いた生活、みんな向上してるよ(驚き!)

 

この私が、なんだか一番停滞してるみたいで怖いなぁ……。

「喜びと不安の狭間 」次男、絶賛リハビリ中

5月16日

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 昼前に、東京に住む叔母と待ち合わせをした。

叔母は、亡くなった義母の妹に当たる。

一人だけではなかなか、ちゃんと食事もしてないでしょう? たまには気分転換もしなきゃね……と、 お昼をご馳走してくれて、病院にも見舞いに来てくれた。 

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叔母とレストランのある展望台で眺めた景色は、やっぱり大都会。田舎者の私は、眼を見張るばかり。

今までの中で一番、スカイツリーは近いところに見えた。


この場所からは、街がジオラマのようにも見えるけれど、ここにどれだけの人の暮らしがあるんだろう。


次男の大学も見える。屋上に並ぶ望遠鏡も見える。

交通費が勿体無いと、大学へのあの道を、ひたすら歩いて通学する次男の姿を思い浮かべた。f:id:hisakokk:20190517031123j:image

あちらこちらのビルが建て直されたり 、工事が入っている。

そういえば来年は、私にとっては2度目の東京オリンピックのある年。


この街で次男は勉強をして、バイトをして、頑張って暮らしているんだなと、感慨深く眺めた。 

そういう気持ちを持って街を見下ろす自分も、子供達に親にしてもらったんだなぁと、いつになく考えもしない事をグルグルと思ったりしていた。


叔母とのお喋りの時間はとても楽しく、とてもよい気分転換になった。 

そして叔母は次男の顔を見て、元気そうで良かったと、次男にエールを残して帰っていった。


叔母を見送って病室に戻ると、車椅子がないことに気づく。

看護師さんがやって来て、車椅子の撤収と、歩行器だけの移動に切り替えることを伝えられたとのこと。

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リハビリの後には、しばらく眠ったりもするけれど、目覚めたらこうして、教えてもらったリハビリを自らきちんとこなしている。


真面目な性格もあるけれど、やはり早く復活したいんだよね。

これは、硬くなった体を柔らかくするためのものらしい。


次男の好きなバンドのDVDを持ってきたので、それを見ながらのリハビリ。

気づけば、イヤホンも自分で装着できるようになっていた。


今日のリハビリで、お手玉でキャッチボールのようなことをしたと教えてくれた。

近距離で、下投げで相手に確実に投げて渡す。

すごく楽しかった! と、小さな子供みたいなことを笑いながら言った。


野球部でキャッチャーだった次男が、子供のボールのやり取りのようなことで、楽しいと笑いながら話す。

野球が本当に好きだから、少し前まで全く動かなかったはずの手で、確かに自分の力で受け取って投げ返せることが、きっと嬉しくてしょうがなかったんだと思う。


リハビリの時、裸足になって歩くことも多いらしい。

足の裏の感覚を取り戻すためだとか。それが、脳の刺激にもなる。 

小さい子供が裸足で遊ぶことは、脳の発達に良い影響を与えると昔からよく聞いていたけれども 、どうやら嘘ではないらしい。


 病院には1階と6階にラウンジがある。ドリンクバーのようなものもあって、無料で自由に飲むことができる。

のどが渇いたので、ラウンジでお茶しようと次男が誘ってくれた。


許可がでなければ、自分の病室の階以外への移動はできない。

でも、ラウンジやリハビリのマシンのある階なら、自由に移動していいと許可が出たらしい。 


そこで二人でのんびり話した。

寝たきりだった次男が、歩行器を使ってここまで歩いて、普通に椅子に座って話している。

やっとここまで来た、いや、もうここまで来れた……なのかな?


立つこと、歩くことを思い出して、それができるようになってきた。

でも、依然と取れない痺れと、戻らない床を踏みしめているという感覚が、やはり今の次男の、一番の精神的な敵になっている。


いつ戻るか分からないこの二つのものが、自分のところに帰ってこない限り、病気が完治したことにならない。


焦るなと声を掛けても、今日も感覚がない、今日もない……と過ごすのは辛いだろう。

それでも、焦るなと声を掛ける以外に術がない。


友達と話していた、夏の地学愛好会の合宿参加。

空が広く見える場所で、みんなと一緒に星を観測して過ごす合宿。 

叶えばいいなぁ。

そして、大好きな音楽のフェスもね。 f:id:hisakokk:20190517031119j:image

再び部屋に戻ると、やはり痺れの取れない手で、リハビリ用にもらった折り紙を折り始めた。


出来ることが増えていく喜びと、戻って来ない感覚への絶望にも似た思いと、その喜びと不安の狭間で頑張り続けている。


きっと、この病気を経験した人達はみんな、この壁を超えていったはず。

だから、君にもこれを超えていく時が、必ず来るはずだよ。

 

「眠れることはいいことだ」次男、絶賛リハビリ中

5月15日

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リハビリの中で、折り紙は継続されているようだ。

あんなに曲がっていた一本一本の指が、随分と伸びた。 そして、左手の中指の爪もかなり伸びていた。

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あの、しょっ中警戒音を鳴らしてきた機械が繋がっていた中指。

テープが巻かれていたから、そこだけ爪を切っていなかった。  

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リハビリの後はグッタリで爆睡。

時々、看護師さんが覗きに来てもビクともせず眠っている。


前の病院での治療中は、眠れずに苦労してた。

夜中、何度も何度も目が覚める。時計を見て、まだ1時間しか経っていないと、夜の長さを疎ましく思ったりもしていたようだ。


やっと眠りについたら、唾液の嚥下をし損なってむせて目を覚ます。

またやっと眠っても、呼吸が苦しくなって、中指からそれを察知した機械が警戒音を鳴らす。 


ちゃんと眠れずに苦労していたのに、今度は疲れて眠くて眠くてしょうがない。


色んなことを、右端から左端へ、表から裏へ、ギランバレーという病が 、一度は最悪の底を経験しなければ治癒に向かえないように 、 全てを通過しなければいけないかのようにも思える。

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検査直後に入院を強いられたあの日から、空に浮かぶ雲が姿を変えて、季節の変わり目を教えてくれていた。

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それでも3週間。早い回復力だと思う。

リハビリで疲れて寝落ちして……体はちゃんと、休んで次に備える方法を知っているんだろう。

あれだけ眠れなかったのに、今は寝落ちすることで、次のリハビリのための体力を取り戻す。

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そうやって体力をつけて、正しい働きをする免疫を再び増やして、壊されてスカスカになった末端神経を再生させて、一つ一つ、色んなものを取り戻していこう。

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車椅子と歩行器を使えば、自立で見守りなしの移動を許された。

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病室にノートパソコンを持ち込んでみた。

好きな音楽を聴けるように。勉強もできるように。

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専門の天体解析の研究はこれでは無理だけど、パソコンのある雰囲気だけでも、復学したい気持ちの後押しができたらと思う。


今日も友達が来てくれた。

母とは違って、本当に息子は友達が多い。

友達との楽しい時間が過ぎた後は、治療中だった時は体力がなくなっていたけれど、会っている間は、精神的な救いになっていた。

そしてリハビリに励む今は、精神的なものだけでなく、不思議に体力もチャージされているようにも思える。

友達パワーだね。


来る子たちはみんな、いい子たちばかり。

友達にも恵まれていることがわかって、母の気持ちも嬉しくて暖かくなる。

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帰りは用事のために途中下車。

後楽園駅と東京ドームと月の三点セット。


さて、明日も頑張りましょう。

 

 

「悔しくても笑いながら話せる強さ 」次男、絶賛リハビリ中

5月14日

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今日からしばらく、天気は悪いらしい。

 

東京は朝夕の寒暖の差が大きい。

スマホを開いて天気予報を見ると、あ〜、今日は暑いんだぁ……と思いながら、実は登録している 福岡の天気予報が表示されていることに後で気付く。

これ、我ながら何回やっちゃえばいいんだろう(笑) 

東京を表示させると、やっぱり九州の方が暑いんだとわかる。 

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昨今の若者は……でも、これもまたリハビリということで。


明日、理学療法士さんと、病院に設置されている洗濯機と乾燥機で洗濯すると言っていた。 

またこれも訓練だって。

リハビリの最大の目的は、日常生活に戻れることだものね。 

 

ただ立つだけなら出来るようになった。

でも、片足立ちはまだ出来ない。

人は倒れないように、足の裏全体で微調整しながら体を支えているらしく、その微調整が全くできないために、逆に倒れてしまう。


リハビリには、その微調整を取り戻すための訓練がある。

床に広げたタオルを、足の指で手繰り寄せるという作業。

それで、左よりも右の足の指が更に動かせないことが目に見えてわかる。


足の裏に刺激を与えるため、小さな豆のようなものを踏んで、その感覚も覚える。


相変わらず手でペットボトルの蓋は開けられない。

切り口の付いた開けやすい袋は、何とか開けられるけど、それがないものは開けられない。


私の職場の、放課後等デイの子供達を思い出す。

「開けてください」と袋を差し出す小さな子供達と、今は一緒。


小さい頃、好きだった折り紙もリハビリの訓練に使われている。

小さかった次男は、複雑な難しい折り紙もとても上手に、綺麗に折っていた。

今日、四角い紙風船を折っていて、綺麗に折れていた。


見かけが大人の、けれど小さい頃の次男がここにいる。

折り紙をいつも私に差し出して、嬉しそうにしていた小さな次男を思い出した。


体だけ、育ち直しをしているような気がした。

そして、また育てばいいと思った。


顔面の左側の麻痺は残る確率が高い。

でも、歪んでいても、引きつっても、笑えることが出来るから上等だ。

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福岡チームの食事の様子が送られてきた。

父は日々進化してる。

長男も、パニックも起こさず穏やかに過ごしてくれていて、やっぱり進化している。


次男も。

悔しくても、笑いながら話せる強さがある。

 

そして私は……。

少しは進化しているのだろうか。

 

「体と精神のギャップ」次男、絶賛リハビリ中

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5月11日(嬉しい来客)

さて、今日は約束通り、昨日電話をくれた友達が来てくれた。

高校時代の友達が3人。

 

よくつるんでいた仲間達。

ちょっと懐かしい空気。


いきなり長時間のリハビリだったので、まだ体力なくてすごく疲れた、眠いと言っていたけど、会った途端に表情が明るくなった。

よく笑って、よく喋ってた。

 

そういえば、数日前まで息も苦しくて、かすれた声しか出なかったのに、しっかりした声も出せるようになってきた。


楽しかったよね。友達っていいね。

面会時間が前の病院より夜が早くなって、休日しか来れなくなった彼女ちゃんも、今日明日と来てくれる。

みんな、本当に有難う。

 

5月12日(リハビリは疲れ果てる)

まだペットボトルの蓋は開けられない。

でも、歩行器で歩く距離は伸びてます。

けれど課題が多いとは本人の弁。真剣に取り組んでるんだね。

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車椅子の使い方も上手くなりました。

そういえば、次男が小学生の頃に学校で車椅子体験というのがあった。

十数年後に、本当にお世話になるなんて思ってなかったよね。


体重もごっそり減った。

実は減ったのは落ちた筋肉の分なので、これから筋肉を付けていくことで、体重も増えてくるらしい。

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嚥下の訓練もあるんだね。

転院前は嚥下は7割戻ったと言われてた。あと3割も訓練が要るということか……。

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今日のスカイツリー

前の病院は廊下側で、窓の外が見れなかった。

やっぱり景色が見えるのは気分がいい。


今日は朝から40分のリハビリを2つもこなしていた。

午後からも1つやったけれども、まだすぐに疲れる。そして、一瞬寝落ちる。


でも、これを繰り返しながら強くなっていくんだろう。

 

5月13日(葛藤に苦しんでた)

珍しいらしいけど、今日のリハビリスタッフは全員、女性だったとか。

来るスタッフ来るスタッフみんなから

「今日はレディースデイですね!」

と言われたらしい。


リハビリ、ガンガンやってる模様。


でも、頑張れば頑張るほど、当然だけど本人にも課題が見えてくる。

私達から見ると、すごく進んで来ているように見えるけれど、本人にしてみれば、もどかしい思いの方が強いようだ。


でも、汗を流しながら、スマホですごい時間をかけて文字を打つこともなくなったし。


そもそも何より、車椅子や歩行器を使って、自分の力でベッドを離れることができるようになったし。


でも、手や足の感覚はまだ麻痺したまま、床を踏みしめている実感も戻らないまま、痺れも取れないまま……。


それがもどかしいようで。


「でも、本当にどんどん違って来てるよ!」

と言うと

「それがね、なかなかそう思うことができなくて……」


この弱音は、きっと歩けていた頃の自分の感覚を、頭の中で思い出してきた証拠だと思う。

思い出した発病前の感覚に、今の自分が付いて行けなくて、悔しくて悔しくてたまらないのだろう。

 

体力もまだまだ戻らないので、しっかりリハビリした後は、やっぱり疲れて寝落ちしてしまう。

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でも、この格好は前の病院ではできなかったな。

横を向いたり体を動かせば、息が苦しくなって、指先から繋がれた血中酸素と心拍数を測る機械が、警戒音をけたたましく鳴らしていた。


自分の体が思うように付いてこない状態。

入院したばかりの、寝たきりで辛かった日々を飛び越して、たった今を苦しんでいる。


なら、それはそれでいいと思った。

今の気持ちに打ち勝って、地道にリハビリをこなす以外に道はない。

よくケガをしたスポーツマンも語ったりしてる。

リハビリは、ただ体の機能を取り戻す訓練だけじゃない。

精神との戦いでもあるんだな。

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空は青かったのに、雨雲が広がり始めた。

夜は雨だ。


精神的な自分との戦いは、やはり酷だと思う。

でも、母はこれからも黙って見ておく。

乗り越えていく姿を、体も精神も強くなっていく姿を、しっかり見届けようと思う。

 

さよなら平成、激動の1ヶ月……そしてよろしく令和⑥

5月8日(リハビリの病院が決まる)

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朝イチに、担当医から電話があった。

希望していたリハビリテーション病院が受け入れOKだから、そちらへ電話連絡してもらえますか?

という内容。

朝イチ掛けてくれってことは、はよ連絡せいっ!てことかな?

ってんで、リハビリ病院に直ぐ電話してみた。


感じのいい看護師さんが、見学来ませんか〜?

それから転院決めたっていいんですよ〜♪

と言って頂いた。

いえいえ、もう決めてますから(笑) 

でも見学はしたい。で、行きます!と即答。


実は、このリハビリテーション病院は私の母が入院した病院と同系列。

全国に系列病院あるんだね。

それを数日前に教えてくれたのが、地元で臨床検査技師をしている友人。

仕事仲間さんからも、色んな情報を集めてくれた。

お陰であまり悩まなくて済んだよ。

有難う。


ということで、電話をしてから早速、もう午後には見学をして気持ちよく挨拶もできた。

私の母の入院した病院と、やはりよく似てた。

リハビリのスケジュールも、雰囲気も同じ。

何だか安心感。よかったよかった。

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病院ご近所さんに、科学製作所。

旦那が何の科学だろう……とワクワクしてた。

何の開発? トランスミッション? バルブ??

テレビの影響大き過ぎ。


旦那の解説によると、この辺りは下町ではないけど、町工場が多いことで有名だって。

 

というわけで、明後日に転院が決まりました。

ここの風景とも間もなくお別れ……。

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早く復帰したい次男は、リハビリをやる気満々。

どんなにキツくても、思い通りにいかなくても、それでも元気だった時のように、また仲間たちと笑って過ごしたいから、頑張ろうと思えるんだよね。

 

5月9日(助けてくれた病院にありがとう)

明日までということで、担当医、リハビリスタッフ、そして看護師さんが、挨拶に来て下さった。

挨拶しなきゃいけないのはこっちの方なんですが……本当に、今まで感謝以外にないです。

すぐに受け入れてもらえたし、命救ってもらいました。

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この病院での最後の晩御飯。今日も(一口大)って書いてあった。

なめこ大根おろしが美味しそう。

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でも、全然量が足りないって。

それで、夜の8時台の夜食と相成りました。

フォークの使い方も上手くなって、母は密かに感動!

この病院での最後の晩餐。 

一時期、なかなか食べれない時があったけど、ここまでになった。

ほんとうにほんとうに嬉しい。


ベッドから冷蔵庫まで、片足を出して体を支えれば手が届く。

それを何とか、今出来る動作で冷蔵庫の中のものを取って 、飲んだり食べたりできるようになったと聞いた時は、おぉ〜‼︎ っとなった。


やっぱり食べ物すごいや。

食べ物バンザイ‼︎

食べたい思いが、こうして体を動かすんだ。

でも、食べられるようになって、食べる楽しさを思い出せたからこそ。

食欲って、ほんと大事!

 

ただ明日の転院は、やはり本人も少し不安もあるようだ。

早く治りたいと「ガンガン、リハビリする!」と前向きな言葉をずっと言っていたけど、ほんの会話の途中の隙間に、ポソリと呟いた一言で、次男の本心が見えた気がした。

大学に復帰することを考えて、東京の病院を選んだけれど、その会話の中での言葉。


「退院、いつになるやら………」


本当は、悔しくてもどかしい思いが減っているわけではないんだろう。

 

5月10日(転院)

ついに転院の日。こんなに早く、次のステップに進めるとは思わなかった。 

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 こうして座って食べられるようになりました。

一時は、もうちゃんと座って食べられないんじゃないかってくらい、深刻な格好で食べてたのにね。 

まだスプーンは、指と指に引っ掛けてるけど。

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最後の昼食。

ここの病院の食事は美味しかったそうです。 

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お箸に挑戦してみました。

「いけそうな気がする!」と前向きな姿勢。

「この持ち方、合ってんのかな?」と聞いてくる。

歩くこともだけど、箸の持ち方も忘れるのかも知れないね。

ちょっと震えたり、ポロっと落としたりしたけれど、最初から最後までお箸で食べれた。

すごい進歩!

何だか母の方が、ジーンと来てしまった。

 

担当医が最後にもう一度、挨拶に来てくれた。

「随分としっかりして来たから、この部屋の中を歩いてみない?」 

という担当医の言葉に

「えっ?そもそも一人で立てる?」  

と思った私を裏切って、私の目の前で次男は、自分一人で立って見せた。

そして、少し不安定ながらも一人で数歩を、一歩一歩、歩くことができた。

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ぇえーーーっっっ!

驚き‼︎

クララが立った!

 

とは叫べないけど、驚いて 驚いて、嬉しくて嬉しくて!


次男が子供の時、初めて立って歩いた日、そして今、人生2度目の初めて立って歩いた瞬間を、母は目の当たりにした。


実は次男も、発病以来一人で立って歩いたのは、当然これが初めて。

本人は、歩けるんじゃないかと少し思っていたらしい。

それを、担当医にポンと背中を押された。

 

ここのリハビリスタッフは優秀らしい。

でも、リハビリだけに 特化した入院は難しいのだろう。

「まずは、立って歩くことを思い出すところから」 と言われたけれど、しっかり思い出すことが出来たんだね。

 

感謝の気持ちでいっぱい。

 

ただ立って歩くことが、こんなに嬉しいなんて。 


微熱も、息苦しさも、まだ感覚のない足や手も、リハビリで体力と筋肉が付いてきたら改善されていくはずだよ、と担当医が言った。

 

担当医の言葉に、治療という段階が終わったことを、心底噛み締めることができた。 


追跡サポートとしてまた病院においで、と言われたので、半年後の予約を入れた。 

その日に、こっちにも顔出して!とも。

 

半年後はきっと、普通に歩いていると思うから、お世話になったお医者さん、リハビリスタッフの先生達に会いに行こう……次男が笑顔で 呟いていた。 

 

感謝しつつ病院を出る時、たくさんの看護師さん達が見送ってくれた。


本当にいい病院でした。

助けてくれて、本当に有難うございました。

 


リハビリの病院へは、介護タクシーで移動。

移動中に高校時代の友達から電話が掛かってきて、その時初めて次男の病気を知ったようで、明日来るから!と言ってくれたようだ。

色んなことが有り難くて嬉しい。 

 

そして、リハビリの病院に到着。

手続き後に病室へ。

車椅子移動が多いからだろう。部屋も廊下も広くてきれい。

そして今回は5階。2人部屋の窓側。

お隣の方は、ずっと奥さんが付き添っておられて、とても優しいご夫婦で良かった。


窓は南向きで部屋も明るい。

外に目をやると、さっきまでいた病院の窓からも見えたスカイツリーが遠くに見えた。

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転院後、初のリハビリ。

まずは理学療法士さんが次男の状態を知ること、そして一緒に歩行器を使って歩いてみること。

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まだ、脚を少し交差させて立つのは出来ないけれど、普通に立つことは不安定ながら出来る。


どんどん頑張って、早く退院する!

本人からも頼もしい言葉が聞けた。

少し自信がついて、先の見えない恐怖から解放されたんだろうな


けれど、今日は色んなことがあって忙しく、リハビリまでこなして疲れたね。

夕方にはぐったり。

今日はゆっくり休んで、明日からリハビリ漬け。

頑張っていこう!