5月11日(嬉しい来客)
さて、今日は約束通り、昨日電話をくれた友達が来てくれた。
高校時代の友達が3人。
よくつるんでいた仲間達。
ちょっと懐かしい空気。
いきなり長時間のリハビリだったので、まだ体力なくてすごく疲れた、眠いと言っていたけど、会った途端に表情が明るくなった。
よく笑って、よく喋ってた。
そういえば、数日前まで息も苦しくて、かすれた声しか出なかったのに、しっかりした声も出せるようになってきた。
楽しかったよね。友達っていいね。
面会時間が前の病院より夜が早くなって、休日しか来れなくなった彼女ちゃんも、今日明日と来てくれる。
みんな、本当に有難う。
5月12日(リハビリは疲れ果てる)
まだペットボトルの蓋は開けられない。
でも、歩行器で歩く距離は伸びてます。
けれど課題が多いとは本人の弁。真剣に取り組んでるんだね。
車椅子の使い方も上手くなりました。
そういえば、次男が小学生の頃に学校で車椅子体験というのがあった。
十数年後に、本当にお世話になるなんて思ってなかったよね。
体重もごっそり減った。
実は減ったのは落ちた筋肉の分なので、これから筋肉を付けていくことで、体重も増えてくるらしい。
嚥下の訓練もあるんだね。
転院前は嚥下は7割戻ったと言われてた。あと3割も訓練が要るということか……。
今日のスカイツリー。
前の病院は廊下側で、窓の外が見れなかった。
やっぱり景色が見えるのは気分がいい。
今日は朝から40分のリハビリを2つもこなしていた。
午後からも1つやったけれども、まだすぐに疲れる。そして、一瞬寝落ちる。
でも、これを繰り返しながら強くなっていくんだろう。
5月13日(葛藤に苦しんでた)
珍しいらしいけど、今日のリハビリスタッフは全員、女性だったとか。
来るスタッフ来るスタッフみんなから
「今日はレディースデイですね!」
と言われたらしい。
リハビリ、ガンガンやってる模様。
でも、頑張れば頑張るほど、当然だけど本人にも課題が見えてくる。
私達から見ると、すごく進んで来ているように見えるけれど、本人にしてみれば、もどかしい思いの方が強いようだ。
でも、汗を流しながら、スマホですごい時間をかけて文字を打つこともなくなったし。
そもそも何より、車椅子や歩行器を使って、自分の力でベッドを離れることができるようになったし。
でも、手や足の感覚はまだ麻痺したまま、床を踏みしめている実感も戻らないまま、痺れも取れないまま……。
それがもどかしいようで。
「でも、本当にどんどん違って来てるよ!」
と言うと
「それがね、なかなかそう思うことができなくて……」
この弱音は、きっと歩けていた頃の自分の感覚を、頭の中で思い出してきた証拠だと思う。
思い出した発病前の感覚に、今の自分が付いて行けなくて、悔しくて悔しくてたまらないのだろう。
体力もまだまだ戻らないので、しっかりリハビリした後は、やっぱり疲れて寝落ちしてしまう。
でも、この格好は前の病院ではできなかったな。
横を向いたり体を動かせば、息が苦しくなって、指先から繋がれた血中酸素と心拍数を測る機械が、警戒音をけたたましく鳴らしていた。
自分の体が思うように付いてこない状態。
入院したばかりの、寝たきりで辛かった日々を飛び越して、たった今を苦しんでいる。
なら、それはそれでいいと思った。
今の気持ちに打ち勝って、地道にリハビリをこなす以外に道はない。
よくケガをしたスポーツマンも語ったりしてる。
リハビリは、ただ体の機能を取り戻す訓練だけじゃない。
精神との戦いでもあるんだな。
空は青かったのに、雨雲が広がり始めた。
夜は雨だ。
精神的な自分との戦いは、やはり酷だと思う。
でも、母はこれからも黙って見ておく。
乗り越えていく姿を、体も精神も強くなっていく姿を、しっかり見届けようと思う。