5月15日
リハビリの中で、折り紙は継続されているようだ。
あんなに曲がっていた一本一本の指が、随分と伸びた。 そして、左手の中指の爪もかなり伸びていた。
あの、しょっ中警戒音を鳴らしてきた機械が繋がっていた中指。
テープが巻かれていたから、そこだけ爪を切っていなかった。
リハビリの後はグッタリで爆睡。
時々、看護師さんが覗きに来てもビクともせず眠っている。
前の病院での治療中は、眠れずに苦労してた。
夜中、何度も何度も目が覚める。時計を見て、まだ1時間しか経っていないと、夜の長さを疎ましく思ったりもしていたようだ。
やっと眠りについたら、唾液の嚥下をし損なってむせて目を覚ます。
またやっと眠っても、呼吸が苦しくなって、中指からそれを察知した機械が警戒音を鳴らす。
ちゃんと眠れずに苦労していたのに、今度は疲れて眠くて眠くてしょうがない。
色んなことを、右端から左端へ、表から裏へ、ギランバレーという病が 、一度は最悪の底を経験しなければ治癒に向かえないように 、 全てを通過しなければいけないかのようにも思える。
検査直後に入院を強いられたあの日から、空に浮かぶ雲が姿を変えて、季節の変わり目を教えてくれていた。
それでも3週間。早い回復力だと思う。
リハビリで疲れて寝落ちして……体はちゃんと、休んで次に備える方法を知っているんだろう。
あれだけ眠れなかったのに、今は寝落ちすることで、次のリハビリのための体力を取り戻す。
そうやって体力をつけて、正しい働きをする免疫を再び増やして、壊されてスカスカになった末端神経を再生させて、一つ一つ、色んなものを取り戻していこう。
車椅子と歩行器を使えば、自立で見守りなしの移動を許された。
病室にノートパソコンを持ち込んでみた。
好きな音楽を聴けるように。勉強もできるように。
専門の天体解析の研究はこれでは無理だけど、パソコンのある雰囲気だけでも、復学したい気持ちの後押しができたらと思う。
今日も友達が来てくれた。
母とは違って、本当に息子は友達が多い。
友達との楽しい時間が過ぎた後は、治療中だった時は体力がなくなっていたけれど、会っている間は、精神的な救いになっていた。
そしてリハビリに励む今は、精神的なものだけでなく、不思議に体力もチャージされているようにも思える。
友達パワーだね。
来る子たちはみんな、いい子たちばかり。
友達にも恵まれていることがわかって、母の気持ちも嬉しくて暖かくなる。
帰りは用事のために途中下車。
後楽園駅と東京ドームと月の三点セット。
さて、明日も頑張りましょう。