長男は毎月、「行動援護」という福祉サービスを使ってヘルパーさんと外出を楽しんでいます。
行動援護とは一般には聞き慣れない言葉ですが、ワムネットが以下のように説明しています。
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行動援護とは<ワムネットより>
行動に著しい困難を有する知的障害や精神障害のある方が、行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、外出時における移動中の介護、排せつ、食事等の介護のほか、行動する際に必要な援助を行います。
障害の特性を理解した専門のヘルパーがこれらのサービスを行い、知的障害や精神障害のある方の社会参加と地域生活を支援します。
長男と行動援護について、こちらのサイトにも記事を書いています。
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長男のヘルパーさんたちは、本当に頑張ってくださっている。
親以外と外で過ごす時間は、障害のために外出が困難な人たちにとって、本当に貴重な時間になるのです。
実はへルパーさんと外出する機会を持つことができる人たちは、障害が重くなればなるほど難しいのです。
最大の理由は、支援できるヘルパーさんの数が足りていないこと。
長男も今のヘルパーさんたちに出会わなければ、それは叶わなかったわけです。
つまり、長男はラッキーな出会いをしたということではあるのですが・・・。
でもね、本当はラッキーなんていうこと自体、変なんです。
だって、誰しも同じように使えるはずの福祉のサービスが、受けられる人と受けられない人がいる・・・。
申請を許可する地域と許可しない地域、ましてやほぼ使えないという地域さえあるようです。
この格差を埋めていくことは急務のはず。
また福祉事業所においても、運営上に点数の加算の付く研修を職員の多くが受けています。
けれど実際現場では、支援できるヘルパーはとても少ない現実があります。
スキルを上げるための研修は、机上ではなく、もっと現場でやるべきだとの声はたくさん上がっています。
でも実際問題、なかなか進んでいかないジレンマがあります。
今、厚労省でも検討会も行われていて、少しずつ進み始めてはいるものの、先は長そうだなぁ。
もしかしてそれが進んで、福祉サービスがもっと受けやすくなって、バンバン使える頃が来たとして、その時私は生きているんだろうか。
さて、ようやく本題。
今回のお話は、先日その行動援護を終えて帰宅した時に、ヘルパーさんが報告の中で教えてくれた、ちょっと感動的なお話。
町を歩いていた長男たちが、すれ違った工事現場の人たちの優しい心遣いと、暖かさを受け取ったというエピソード。
暦は秋というのに、その日も暑い日。長男はいつものように歩く歩く。
それにヘルパーさんも、汗をかきかき付き合ってくださる。
怪我がないように
楽しい時間が作れるように
豊かな1日となるように
そして長男の笑顔が増えるように。
その道すがらに道路工事があっていたようです。
道路のアスファルトを剥がす重機の音は、大人でもかなり不快。
自閉症の長男は相当辛いはず。
けれどその道を通らなければ先に進むこともできません。
長男は、いつものようにキュッと顔をしかめて両手で両耳を塞ぎました。
それをどうやら、工事現場で作業している人たちが気づいたようです。
サッと重機のエンジンを切ってくれたのだとか。
どうぞ通ってねと誘導してくれて、長男とヘルパーさんが通り過ぎ、しばらくそこから距離が空いたところで作業が再開されたようです。
そして折り返しての帰り道、その現場を再び通ることになってしまったものの、現場の人たちは長男たちの姿が見えた時点で重機のエンジンを切ってくれたのだとか。
しかも通り過ぎて、かなり離れたところまで立ち去った後に、工事は再開されたそうです。
実際、その対応で工事は効率が悪いことになるのでしょうが、ヘルパーさん曰く、しっかり長男を意識して、嫌な顔ひとつせず皆さんで待ってくださったのだとか。
ヘルパーさんも、行きは偶然かな?とも思ったそうですが、明らかに帰りのその様子に「僕らのこと、ちゃんと見てくれてたんでしょうね」と。
なんだか、とっても温かい気持ちになりました。
こんな思いやりが、優しい町を作っていくんだなぁ。
町の中での心のふれあいは、外出が叶わなければ経験することもありません。
けれどヘルパーさんたちの力を借りれば、外出は叶うのです。
障害が重くても、人の優しさは理解することができます。
誰しもが人の優しさに触れながら、豊かな一日を過ごすことが当たり前の世の中になりますように・・・。