カレンダーに、私が予定を書き込む時の長男の表情がいつも可愛い。
君のイベントはここだよ・・・と書き込むと、嬉しそうにカレンダーを覗き込む長男。
書き込んだところに「でっ、でっ」と言いながら、指差して何の予定か聞いてくる。
ここが「行動援護で(重度障害児者の移動支援)、ここはお父さんがいるからドライブできるね!」
長男は、あれ?という顔をした。
ので、もしかして?と思って「あぁ、短期入所はまた今度ね^^」
と伝えると、また「でっ、でっ!」と指差ししながら聞き返してくる。
福祉のサービスで「お母さんの睡眠時間を確保しよう!」と相談支援員さんが繋げて下さった、短期入所なる施設でのお泊まりの日は、実は今月はナシ。
ニーズの多さに対して、支援者であるマンパワーの数が追いつかないからしょうがない。
短期入所は、だいたい月1回で土曜日の夜から日曜日の朝、あるいは日曜日の夜から月曜日の朝に利用させてもらっている。
つまり、長男にとっては親以外の、年齢も近い支援者たちと過ごす貴重な時間。
そして私にとっては、夜中に起きる必要がない睡眠がとれる日。
でも「ご希望に添えなくて申し訳ないです」と連絡が来て、ウチが利用できない時は誰かが利用できているわけで。
逆を言えば、ウチが利用できている時は、誰かが利用できていない可能性がある。
福祉のサービスはマンパワーがなければ成り立たない。
だから、私たちは利用する側であり、それを大事にしなければならない立場でもあるんだ。
そしてこの前の週末のこと。
旦那が用事で数時間の不在を宣言して出て行ったので、しっかり長男には説明したものの、どうやら置いてきぼりを喰らったと感じたらしい。
そこで「あ"ー、あ"ー!」と私に不満をぶつけて来たけれど、なんとも帰宅の時間がわからなかったので、まぁまぁ母と一緒に待とうではないか!と説得をしたところ、長男は横になってふて寝を決め込んだ。
苦笑いの私だったけど、しばらくして寝落ちしたのか寝息が・・・。
おや、ではではちょいとタオルを取りに・・・と私がドアを少し開けた瞬間、ムクッと長男が起き上がって来たので、ああ、やっぱりね・・・と、これまた苦笑い。
むくれていた長男は、私が少し長男から離れたことで、私の手が及ばないと考えたであろう場所にある引き出しから、何かを取り出して壊そうとし始めた。
母を舐めたらいけません(笑)
結局母が追い付いて、おいおいと止められて未遂に終わったのでありました。
調子が悪い時は、もう完全に破壊されているパターンだけど、この日は大丈夫でありました。
こんな風に、寝てるかもしれないと思ってその場を離れたことで、事件が起こったことは数知れず。
多くの支援者も経験させられていて、目の及ばないところで破壊行動や脱走とか、何度やらかしたことか。
脱走によって、小さい頃は保護で済んだけど、大きくなってからは留置所に入れられたことだってある。
こういう風に寝落ちしたかと思っても、周りの状況で目を覚ます長男と、夜眠っていても長男の動きで目の覚める母と、毎日の攻防は未だ途絶えることはないわけです。
つまり短期入所のお泊まりは、こんな私たち親が、夜中の攻防を繰り広げずに済む時間をもらえるわけです。
けれどまぁ、ここのところ結構機嫌の良い日が続いていたこともあってか、今回この昼間の攻防はたいしたことはなく、短い時間の出来事で済みました。
そうしている間に父親が帰宅。
で、長男の外出要求が始まりました。
そろそろ夕方に差し掛かる頃とはいえ、長男の希望通りにドライブと相成りました。
相変わらずの、長男が行きたい方向の指差しにハンドルを切っての気ままなドライブです。
日が落ちてきて赤く染まり出した空を見て、父親が「夕日が落ちるまでに、まだ間に合うかも知れない!埠頭に行こうよ!」と言うと、長男も納得。
本当に綺麗な夕日と空と海に出会えました。
観光地でもリゾートでもない、流通のための埠頭。
ここは釣り人の姿も多く見られます。
長男は空を見るというより、この日の、冬にしてはそんなに冷たくもない風を感じているふうでした。
私もこの真っ赤な西の空を見ながら、この風景とは裏腹に、なぜかこんなことを思っていました。
「あ〜・・・帰ったらまた家事かぁ・・・。」
「朝も昼間も何も出来なかったし、今はこうしてるし、やりたいことはまた夜中だなぁ〜」
綺麗すぎる風景の中で、なぜか現実的な思考がいらん方向にも働く私の脳内。
それはこんなこと・・・。
最近、周りの尊敬する人たちが更に勉強を始めたり、深めたりしている。
資格を取った人、取ろうとする人、講座で学び始めた人・・・SNSでそんな報告が溢れている。
「あれ?私、何やってんだ?」
時々、すごい取り残され感が襲って来たりする。
でも、今日はその取り残され感の後に、更に来た感情がこれ。
「あぁ、こんな綺麗な風景を見せてもらってんだなぁ」
なんも出来なくても、実はこうして気を抜く場所を、ちゃんともらってたな。
案外、すごいことに気付かされたか?
なんだかよく分からないけれど、意外にもスッキリして帰宅した私。
色々あるけど、この時間も長男がくれた時間。
世の中は気付かないだけで、案外上手く回っているのかもしれない。